すあまをめぐる冒険〜新井薬師:亀屋和菓子店〜
すあまのはなし
みなさんこんにちは。lamp編集長の木村です。
きっとlamp読者のみなさんは、今ブームとなっているパンケーキやらカップケーキを食べる為に、何時間も行列に並ぶという努力をしていることでしょう。かくいうわたしもその一人です。
そんなみなさんに今日は朗報です。
NEXTブレーク必至のスイーツを見つけてしまいました。
ついにブームを追うのではなく、作る側に立つ日が来てしまったのです。
ご紹介いたしましょう。NEXTブレイク必須なスイーツそれは……
“すあま”です。
すあま。
あのピンク色でぷるっともちっとした食感、しっとりなめらかな触感。
どう考えたって女子の好きな要素がつまりすぎています。
なんならすあまが女子の代名詞になってもいいぐらいで、むしろなぜ今までがそうではなかったのか不思議なくらい。
すあまブームを作るとなると、実際に“すあま”作りの現場を見ておいて間違いは無い。
すあまに詳しくなりすあまのスペシャリストとなることで“NEXTすあまブーム”の仕掛人となるのだっ!
ということで、やってきました。「亀屋和菓子店」さん。
創業80年を越える老舗和菓子店
新井薬師駅から徒歩1分の場所に店を構え、創業なんと80年を超える老舗の和菓子屋さん。
今日はここ亀屋和菓子店のご主人澤田さんに“すあま”の製造過程を見せていただけることに!
すあまとは
すあま(寿甘、素甘)は東日本で一般的な餅菓子の一種。関東地方では縁起を担ぎ「寿甘」という字をあてたり紅白のすあまを詰め合わせて、祝い事の席で配る習慣がある地域もある。(Wikipediaより)
とのこと。
可愛いだけじゃなく縁起モノだなんてなんと優秀なのでしょう。
すあまのつくりかた
1.まずはお米の粉をこねていきます
4.少しずつ数回に分けてお砂糖を加えながらさらについていきます
とってもシンプルです。
そんなすあま作りの合間にご主人と色々なお話をさせていただきます。
和菓子屋の店主に人生を教わる
木村(以下、木)亀屋さんは創業80年を越える老舗とのことですが、どうしてご主人は和菓子屋さんになったんですか
澤田さん(以下、澤)そうだねえ。その時はなんにも分かんなくてね。甘い物が食べられたら嬉しいな、っていうただそれだけの単純な理由だったんだよ。
当時は、戦後まだ5〜6年の頃でね。進学生なんて村に数人もいない時代だったんだよ。だから、みんな中学を出ると農家の次男以下はね、みんな村の外へ出て働くのが普通だったんだよ。それこそ集団就職が普通だった時だからね。わたしは中野に知り合いがいたもんでね、その紹介でここに来たんだよ。
木 ご主人の代に変わってからはどのくらいですか
澤 先代はね、昭和36年に亡くなったの。わたしが25歳くらいのときだったかな。それから、うちのせがれが手伝ってくれるようになるまでずっと一人でやっててね。だからかれこれ55年になるかなあ。昔は色んなところに和菓子の職人さんがいたからね、なりたいって人も多かったんだけども。最近はなかなか職人になろうって人がいなくてね、親子でやってるってとこがほとんどだね。
木 亀屋さんもいまは親子二代でやられていますもんね
澤 うちなんかは最初はやる気がなかったんだけどもね。だから無理矢理やらせたみたいなもんだよ。大学を出てから製菓学校に2年ばかり行って、それから手伝ってくれるようになりましたね。でも、小さいときから店が忙しい時は手伝ってくれてたからねえ。中学・高校になっても時間があれば手伝わせて、店をやっていましたね。だけど、今はそれも大変な時代になりましたよ。
木 和菓子の職人さんって、すごく鍛錬されるイメージなのですが一人前になるまでどのくらいかかるものですか?
澤 そうだねえ。今までこうして続けてきたけども、いつまで経っても一人前になんてなれないねえ。人生とおなじでこれでいい、というものが無いから難しいんだよね。
それに和菓子って本当に正直でね、一生懸命作ってもほんのちょっとのことではっきり違いが現れちゃうんだよ。
ちょっと味見を
ここで「おあがりになりますか」と、澤田さんから嬉しい一言が……!
つきたておもちをつまませてもらえることに!
お、お、お、おいしい〜〜〜〜〜
もっちもちでほっかほかでなんと美味しいことでしょう………!
なんでも作りたてが一番うまいという通説はやはり本当のようです。
趣味は社交ダンスの澤田さん
澤 そうだねえ、いろいろ大変なことはあったけどもう忘れちゃったなあ。(笑)
昔は今と違ってね、お菓子がうんと売れたんですよ。だからすごく忙しくて、休みの日もお仕事してたんだよね。でもその時は若くて体力もあったから苦じゃなかったなあ。それに、休みの日は午前中に仕事を終わらせて午後は絶対に趣味の時間に充てるんだ、って決めてたからねえ。
木 ちなみにその趣味ってなんですか
澤 社交ダンスだよ。実は、いまも続けているんだけどね。
木 ま、まさか和菓子屋のご主人がそんなモダン趣味をお持ちだったとは……!
澤 そういう楽しみがあったから、仕事が大変でも頑張れたと思うし、それはいまも同じで、今年のクリスマス発表会に向けて練習中なんだよ。
木 それはすごい。でも、どうして社交ダンスを?
澤 旅行先でね、女の人に踊って下さい。って言われたんだけど全くダンスなんて知らなかったから断っちゃってね。その時にこりゃあ覚えなきゃ、と思ってすぐ教室に通うようになったよ。
思い立ったが吉日、と思って始めた社交ダンスだけど、まさか40年も続く趣味になるなんてね。でも、案外そんなものかもしれないね。
職人は仕事に惚れている
木 「継続は力なり」って言葉、まさにご主人はその通りという感じですね
澤 いやいや。知恵も能力も無いですからね、わたしに出来る仕事はこれしか無いんですよ。でも、自分の職業に惚れるってことでしょうね、大事なのは。
よく結婚するときなんか、三惚れって言うじゃないですか。「相手に惚れ、仕事に惚れ、土地に惚れ」ってね。
他人の仕事ってよく見えるんだけども、その道に入ってみればどの仕事もきっと同じようなものじゃないかな、って思いますよ。
長い間商売やっててね、隣の仕事はどうかなって気になっちゃうんだけど、比較してみるとね、やっぱりこの仕事がいいかなってなるんだよね。だから、人の仕事を気にするより自分の仕事に惚れ通すことだよね。
大事なのは“塩梅(あんばい)”
木 和菓子作りで一番難しいことってなんですか?
澤 一番はやっぱり“いい塩梅”にすることだよね。このすあまだって、蒸し方一つで固さも甘みも全然違ってくるからね。やっぱり大事なのは形を作る前に中身だよね。もちろんかたちも大事なんだけどね。
なんせ元が悪くちゃいくら形がよくても台無しだよね。見栄えばっかりじゃね。いくら美人さんでも心が良くないと、ね。やっぱり表面のことより芯の部分が大事だよね。上辺より中身っていうかね。和菓子ってのは、どうしても手間がかかるものなんだけど、そこをないがしろにすることは絶対にできないから、なによりの基本の部分は大事にしないとね。
木 お父さんがこの仕事をしてて嬉しい、楽しい時ってどんな時ですか?
澤 やっぱり品物がうまく出来た時じゃないかなあ。塩梅良くできたときはね、嬉しいですねえ。うまくできて当たり前と言えばそれまでなんだけども、その当たり前っていうのが実は一番難しいんだよね。
木 いまの若い子たちに向けてご主人からなにか一言もらえますか
澤 そんなえらそうなことは言えないけどね。(笑)若い頃は、苦労は買ってでもしろって言うじゃない。本当にその通りだと思うんだよね。経験のすべてが身になるのは若いうちだけだよね。いまのわたしなんて、社交ダンスに行っても覚えられないし忘れちゃうもんね。
もしなにか悪いことが起こっても、それがずっと続く訳はないから大丈夫だよ。明日を夢見て、じゃないけど、毎日が新しく始まるんだから、いつまでも悩んでることはないんだよ。だから、そんなに気を張りつめて悩まなくてもいいんじゃないかな。
木 おじいちゃんとのお話に夢中になって、当初の目的忘れちゃった。
当初の取材目的がなんだったのかすっかり忘れてしまいましたが、すあまの虜になったのは事実。
澤田さん手作りのすあまを手みやげに、ほっこりした気持ちで編集部へ帰ろうと思います。
【info】
亀屋和菓子店
ジャンル:和菓子屋
TEL.03-3386-2229
住所:東京都中野区新井5−25−5
営業時間:10時〜19時
定休日: 水曜日
[ライター/木村衣里 カメラ/横山英雅]
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