大人女子のための2分で読めるウェブマガジン美シャイ- Beautiful shining
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2017/02/27

DJみそしるとMCごはん~明日が来る前にやってみる~【lampインタビュー】

魔法のランプがなくても、神様にお願いしなくても、願いは自分で叶えられる!

このコーナーでは、様々なジャンルで活躍する方たちに自身の“夢を叶える方法”についてお伺いします。

今回お話を聞くのは、「おいしいものは人類の奇跡だ!」をモットーに、料理のレシピを楽曲に乗せるという、料理と音楽の新しい楽しみ方を世に繰り出す、DJみそしるとMCごはん(以下:おみそはん)。楽曲、作詞はもちろん、アートワークやミュージックビデオまで自ら制作する多彩なおみそはんに、“夢”や仕事に対する思いなどを伺いました。

料理は絵を描くことや音楽に似ている

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−−おみそはんは女子栄養大学出身ですよね。高校時代に進路を決める時、女子栄養大学へ進む決め手となったのは何だったのでしょうか?

ずっと絵を描くのも好きだったし、エレクトーンを習っていたけど、芸術的なものを仕事にするのは難しいんじゃないかなって思ったんですね。そこで、手に職系の仕事がいろいろあるなかで料理を選んだのは、料理が絵を描くことや音楽に似ているんじゃないかと思ったからです。食材を彩り良くお皿に盛ったり、いくつも飾り切りがあったり、テーブルコーディネートしたり。料理人さんもそれぞれ自分のリズムがあって、人によって違う料理を作りますよね。
で、大学選びは進路を探すなかで、女子栄養大学にビジュアルコミュニケーション研究学科の平野ゼミという研究室があるのを見つけて、ここしかないと思ったんです。実際ゼミは、料理のあり方や料理の既成概念を一回すぱっと忘れて、物の見方を改めて自分で考えさせてくれるようなところで。何を考えても良いし、何をやっても良いし、すべてはみんな次第っていう自由な気風でした。

−−そのゼミの卒業研究としてDJみそしるとMCごはんが生まれたとのことですが、料理を音楽で表そうとしたときに、なぜヒップホップの形にしたのでしょうか?

森山直太朗さんみたいな人を泣かせるような歌が私には歌えないっていうのが一つあって(笑)。もう一つは、ヒップホップは韻を踏むので言葉を追いやすく、料理のレシピも覚えやすいということです。あとヒップホップはメッセージ性が強いので、料理のレシピだけじゃなくて料理に対する想いとか、家庭料理の良さなどを1曲にまとめるならヒップホップだ、って。森山さんだったらもっと、「行間でみんな察して」というような歌の技術があるのかもしれないけど…残念ながら私には無かったので、事細かに伝えるためにヒップホップにしました。

−−アートワークやミュージックビデオの撮影もご自身で担当されているのもありますが、ご自身のなかにそういったDIYな気質は昔からあったのでしょうか?

静岡出身なんですけど、みんなで工作をしたり壁をペンキで塗ったりする「エンジョイDIY」という番組が大好きな子供でした。それから、小さい頃に持っていたジェニーちゃんの服は母が作ってくれたので、私もそれを真似したりとか。父ともジェニーちゃんの家を一緒に作ったりしてましたね。で、大学に進学してからもDIYっぷりは変わらずで……。都会の大学生はキンコーズでおしゃれ印刷するじゃないですか。でも池袋から50分みたいな場所に住んでいたので、大学の大型プリンターで「あっ、ちゃんとトンボってものを付ければ自分で切っておしゃれ印刷できるんだ!」とか(笑)。

−−当初は卒業研究だったDJみそしるとMCごはんが、今の活動につながるようになったターニングポイントを教えてください

今はやってないんですが、前は原宿のVACANTというイベントスペースで、日替わりの料理人さんによる、日替わり料理が食べられたんですね。それで私はyoyo.さんという、ヴィーガン料理人さんのお皿洗いインターンを始めたんです。そんななか、今はLIQUIDROOMのKATAというギャラリーを主催している波平さんという女性に出会ったんですが、その方が音楽配信サイトのOTOTOYさんに私を紹介してくれたり、初めてのライブをKATAでやらせてくれたりしたんです。yoyo.さんの料理も学校じゃ教えてくれないような面白いもので、こうして外の世界に触れられたのはVACANTでのお手伝いができたからだなと思います。

自分の感覚をきちっと見つめて、信じて。

−−ご自身に影響を与えているモノやヒトを教えてください。

大学生のときにレシピをラップにして提案したいなと思ったきっかけが、このMIHOさんというカメラマンの方が作っている「saji」っていう本なんです。

本の画像12

料理本なんですが、すごい画ですよね(ファッション誌風に外国人モデルと写ったお好み焼きを指さしながら)。でもきちんとしたレシピも載っていて、感度の高い女の子たちに向けて、インスタントなものを食べるんじゃなくて、きちんと食と向き合ってもらいたいっていう思いがあって。衝撃でしたね。

本の画像23

ここまでやりきっていいんだって思いました。自分の感覚をきちっと見つめて、信じて。こういうものをやってみたいという思いを実現させる力が私にもあったらなと思います。

体を動かすと、頭も動いてくる

−−これまでどんな時に落ち込んだり、悩んだりしましたか?

曲作りに悩むことが多かったですね。前は自分で体を動かす前に、情報を集めちゃうのがクセだったので、牛乳寒のレシピも10通りくらい見てわからなくなっちゃったり。自分がまず動き出して料理を作ったり曲を作ったりすればもっとスムーズに進むかもしれないのに、不安で。動く前の足踏みが多かったですね。うじうじする時間をなるべく短くして、ぱっと切り替えて体を動かすと、頭も動いてくる感じが最近ようやくわかってきました。

インタビューカット2

“のり弁”という曲の制作で悩んだ時は、美術館に行って、真っ黒い抽象絵画を見たんですね。
でもその時は、作者の「これは黒い色を見せるのではなく、黒に反射する光を見せる絵なのだ」って言葉に、ほお〜って感心しながら「のり弁ももしかしたら、黒い料理じゃなくて光を見せる料理なんじゃないか……」って、変なゴールに向かいそうになりました……。結局1週間後くらいに、のり弁は抽象絵画じゃないわって全然違う曲になったんですけど(笑)。なんであんなに雷に打たれたみたいに、「のり弁これで解決だ! 抽象絵画で私の未来は安泰だ!」ってなっていたのか……。でもその経験がなかったら進んでいなかったので、自分以外の人の考えることや作り出すものに触れると、滞っていたものが動いていくんだなあと思います。

−−ランプをこすって登場した魔人に自分の弱点を何か一つだけ克服させてもらえるならどんなところをお願いしますか?

人見知りかな。克服したら、ライブも色んな人とお仕事するのも、もっと楽しくなるんだろうなって思います。去年までは、「しょうがないよ人見知りなんだから」って思ってあきらめてることがいっぱいあって。一緒に仕事する人に対しても、この一回こっきりだから、とりあえず今は頑張って乗り越えるぞっていう感じだったんですけど、それが人見知りじゃなかったらまた別の可能性を一緒に探せたかもしれないし。きっと環境が変わってたかもなって思います。

ランプ画像2
パネル画像2

『なんだかんだ、やっぱりな』

−−今日までの人生について、ご自身で自伝を書くとしたらどんなタイトルにしますか?

『なんだかんだ、やっぱりな』かな。楽器を習ってたことや絵を描くのが好きだったこと、両親の元で生まれて育ったことや生きてきた環境が、ありがたいことに全部今の仕事につながっていて。昔は「こんな田舎に住んでていやだな〜」「なんでうちのお父さんはスーツじゃないんだ〜」みたいな不満もあったんですが、今となると全部役に立って仕事に結びついていて、なんだかんだ良かったなって思います。

なんだかんだのポーズ2

−−何かに挑戦したいけれど、なかなか行動に移せない。そんなみなさんが一歩踏み出すためのメッセージをお願いします。

私も今、新しいことにいろいろ挑戦させてもらう機会が多くて、日々これ大丈夫かなとか考えるけど、ずっと悩んでいると先に明日の方が来てしまうんです。それで結局覚悟が出来る前に乗り越えなくちゃいけないことが多くて。だから「明日はすぐ来ちゃうんだから、とりあえずやってみたら良いんじゃない?」って自分にも言ってあげたいですね。やってみると、案外周りの人が助けてくれたり、見ていてくれるんだなっていうのを最近実感しています。

−−そんな大舞台を控えるときに食べるおみそはんの勝負メシは何ですか?

自分で海鮮丼を作ります! お寿司やさんのコーナーで売ってる甘い玉子焼きとお刺身を買ってきて、ご飯にのっけるだけなんですけど……。好物なので海鮮丼で乗り切ります。

−−では最後に、今後の展望をお聞かせください。

孫に「おばあちゃんは昔ラッパーだったんだよ」って自慢したいです(笑)。まだあまりラッパーのおばあちゃんって日本にはいないと思うので。アメリカとか外国はいっぱいいるかもしれないけど…。もしかしたらおばあちゃんになってもまだ現役かもしれないけど、孫に「おばあちゃんラッパーなんだー!」って言われたいですね。

【info】
DJみそしるとMCごはん
「おいしいものは人類の奇跡だ!」をモットーに、トラック、リリック、アートワーク、Music Videoなど全てを自ら制作し、料理と音楽の新たな楽しみ方を提案する、超自家製ラッパー。

Twitter:@D_M_M_G

—《追記》—

4/22 メジャー1stアルバム『ジャスタジスイ』発売決定!

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まさかのメジャーデビューから1年3ヶ月。 自身の主催番組NHK Eテレ「ごちそんぐDJ」をはじめ数々のメディア露出や、私立恵比寿中学から食品メーカーまで幅広い楽曲制作など、各方面から引っ張りだこのDJみそしるとMCごはんが、メジャー1stアルバムをリリース!
『Mother’s Food』(インディーズデビュー作)の次は、『ジャスタジスイ』(JUST A 自炊)。“母の味”から“ジスイ”の日々へと成長したDJみそしるとMCごはんの、懇親の7曲を収録!

更に、M-1「ジャスタジスイ」のトラックは、今、東京で最も素晴らしい楽曲を奏でるバンド・片想いが作曲&生演奏!M-3「のり弁」にはトークゲストとして、2014年最も活躍したラッパーの一人・NORIKIYOが、ノリノリで参加!M-4「あんかけ炊炒飯」には、日本が世界に誇るアイドル・でんぱ組.incの夢眠ねむと、まさかのラップコラボ!M-7「あの素晴しい味をもう一度」は、あの名曲を元に日本のHIPHOPの先駆者・SHINCOがトラックを制作!

新生活の幕が開く春。これからジャスタジスイを始める皆様にも、既にジャスタジスイしている皆様も必聴です!

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【リリース情報】
『ジャスタジスイ』
2015年4月22日(水)発売
KSCL -2418 / ¥2,500(税込)

《トラックリスト》
1. ジャスタジスイ
2. 缶詰ロワイヤル
3. のり弁
4. あんかけ炊炒飯 feat. 夢眠ねむ (ヨミ – アンカケスイチャーハン feat. ユメミネム)
5. 凍狂まんじゅう
6. 家庭サイエンス
7. あの素晴しい味をもう一度

DJみそしるとMCごはんの最新情報はこちらから。
http://misosiru.jp/news/

[ライター/アベユーカ カメラ/臼井大輔]