平凡だけどどこかミステリアスな女『パンドラの匣』の竹さん
『パンドラの匣』より
lamp編集部の駒場です。ここでは映画に出てくる「記憶に残る女たち」を特集していきたいと思います。
記念すべき第一回目に(私に)選ばれたのは『パンドラの匣』の“オカッパ頭の看護婦長、竹さん”に決まりましたー。
作品紹介(あらすじ)
この映画はもともと太宰治の小説。太宰作品の中でも一番ポップで、青春をモチーフにしているともいわれる。舞台は結核患者が生活する健康道場(療養所)。主人公である「ひばり」は、「新しい男」を目指す青年患者である。大阪の道場から新しく赴任してきた組長(婦長)「竹さん」を皆がべっぴんさんだともてはやすなか、ひばりは1人腑に落ちようとしない。
竹さんのことを、ただの年増女だと友人の手紙に綴りひばりは硬派であろうとする。その竹さんを思いのほか友人は気に入ってしまうのだが……。
「やっとるか」「やっとるよ」「頑張れよ」「ようしきた」
患者を励ますための掛け声が患者と看護婦たちの間で交わされる日々の中、ひばりは「新しい男」の生き方に揺れていた。
勝手にグッとシーン ※ネタバレあり
トレードマークのオカッパが……
竹さんのおかっぱ、この映画のなかですごく印象的なんですよ。なぜかって?それは竹さんにめちゃくちゃ似合っているからです。艶々の黒髪が和服にとても映えるんですよねー。そんなおかっぱがですね、なんと、外れたんですよ……。「え?どうゆうこと?」ってかなり動揺するシーンです。要するに、竹さんの髪は結えるほどあり、オカッパはカツラだったんです。ひばりの驚いている顔も可愛いので是非そこは一緒にチェックしてもらいたいところですね。
駒場が考えるに、男を驚かせることができる女性はズルイと思うんです。だって、この衝撃はハテナに変換されますよね? それは女性のミステリアス要素に繋がるんですよ! この衝撃シーンは何故か竹さんの色気として駒場の脳裏に残っています。
竹さんのおしりと、気怠い煙草
夜明け前にひばりが寝ぼけたまま竹さんを探しにいくシーンもいいですねー。ようやく見つけると、竹さん、誰よりも早く起きて床を拭いているんですよ。で、その拭いてる時のおしりがすんごいエロいんです。あれは性の象徴として撮ったシーンとしか思えないんですよ! ひばりが草履もはかず、泥だけの足で来たことに気づいた竹さんは、足を拭いてあげるんです。しかも跪いて! で、ひばりの足を拭くという仕事を終えた竹さんは、煙草に火をつけるんですよねー。本当は嬉しいくせにスカしちゃって。でも、その女の余裕が憎らしい程美しいんだな。
と、竹さんの魅力所について語らせてもらいました。ここからはこの映画のPRです。
『パンドラの匣』をエグる
現実から離された健康道場という仮想的空間に、青春を象徴する恋と、命という重い軸が存在します。この空間が竹さんというミステリアスな存在を引き立てているようにも感じられますね。また、ひばりは「新しい男」として生きるのに硬派であり、紳士でありたい、という理想から、性を感じさせる竹さんに近づくことを本能的に危険視しています。そのひばりの葛藤と、ほろ苦い青春を見事に再現できている作品だと思いました。私たちも硬派な男を壊す女性になりたいですね!
以上、記憶に残る、イイ女と映画をお届けいたしましたー。それではまた次回!
[ライター/駒場千尋]
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